英国の賃金上昇率が8カ月ぶりの高水準に – 雇用市場の底堅さを示す

賃金上昇率の推移と背景

2024年10－12月の賃金動向

英国政府統計局（ONS）が2025年2月18日に発表したデータによると、
賞与を除く賃金上昇率は2024年10－12月期に 5.9％ となり、市場予想に一致しました。

これは前回（7－9月期）の5.6％から加速しており、労働市場の堅調さを示しています。

特に民間部門の賃金上昇率は 6.2％ に達しました。

失業率と雇用者数の変化

2025年1月の雇用者数は 2万1000人増加 しました。

一方で、2024年12月の雇用者数は速報値の 4万7000人減 から 1万4000人減 へと上方修正されました。

また、10－12月期の失業率は 4.4％ で、前期と変わらずの結果となりました。

エコノミストの予測では 1月の雇用者数が3万人減 となる見込みでしたが、
実際には増加となり、英国の労働市場が依然として堅調であることを示しています。

英中銀の見解と今後の政策動向

ベイリー総裁のコメント

イングランド銀行（英中央銀行）のベイリー総裁は、
「賃金の伸びは想定していたほどではなく、労働市場の動きは中銀の予測から逸脱していない」
と述べました。

これは、イングランド銀行が今後の利下げを慎重に進める可能性を示唆する発言といえます。

英国の金融政策と経済への影響

イングランド銀行は2024年にインフレ抑制のために利上げを続けてきました。

しかし、賃金上昇率が市場予想内で推移していることから、金融政策の方向性に関する議論が続くと考えられます。

英国経済への影響と今後の展望

増税前の影響

英国政府は2025年4月から増税を予定しています。

特に最低賃金の引き上げや国民保険料の雇用者負担増が影響を及ぼします。

このため、企業のコスト負担が増し、今後の雇用や賃金の伸びに変化が現れる可能性があります。

GDP成長率とインフレの関係

現在の賃金上昇率は、英国経済の回復基調を支える一方で、インフレへの影響も懸念されています。

インフレ率の動向によっては、イングランド銀行の金融政策が再調整される可能性があります。

まとめと今後の注目点

主要指標まとめ

指標	最新データ	前回比
賃金上昇率（賞与除く）	5.9％	+0.3ポイント
民間部門の賃金上昇率	6.2％	+0.4ポイント
失業率	4.4％	変化なし
1月の雇用者数	+2万1000人	–

英国の賃金上昇率は8カ月ぶりの高水準となり、労働市場の底堅さが示されました。

1月の雇用者数は予想外の増加を見せ、企業の雇用意欲が依然として強いことが分かります。

一方で、4月以降の増税がどのような影響を及ぼすかが今後の焦点となります。

イングランド銀行は慎重な金融政策を継続する見通しですが、今後のインフレ率の推移が鍵を握るでしょう。

今後も英国経済の動向に注目しながら、適切な対策を講じることが求められます。

質問コーナー

Q1: なぜ英国の賃金上昇率は8カ月ぶりの高水準になったのですか？

A1: 2024年10－12月期の賃金上昇率は5.9％と、市場予想通りの伸びを示しました。
これは、最低賃金の引き上げや労働市場の底堅さが影響していると考えられます。

Q2: 英国の雇用者数はどのように推移しているのですか？

A2: 2025年1月の雇用者数は2万1000人増加しました。
これは予想を上回る結果で、労働市場が依然として強いことを示しています。

Q3: 4月からの増税は雇用や賃金にどのような影響を与える可能性がありますか？

A3: 企業のコスト負担が増し、新規雇用の抑制や賃金の伸び鈍化が懸念されます。
ただし、実際の影響は経済全体の動向次第です。

おわりに