
2025年3月のミシガン大学消費者マインド指数が大幅に低下しました。
一方で、インフレ期待は急上昇し、
特に長期的なインフレ見通しは32年ぶりの高水準となっています。
これは、米国の経済政策に対する不安や
関税の影響を強く反映した結果と考えられます。
本記事では、消費者マインドの変化とその要因、
さらに今後の市場への影響について詳しく解説します。
3月のミシガン大学消費者マインド指数が57.9に低下


米国の消費者マインドが大きく低下したことが明らかになりました。
2025年3月のミシガン大学消費者マインド指数(速報値)は57.9となり、
2022年11月以来の低水準に落ち込みました。
エコノミストの予想中央値63を大きく下回り、前月の64.7からの急落となりました。
指標 | 3月速報値 | 前月 | 予想中央値 |
---|---|---|---|
消費者マインド指数 | 57.9 | 64.7 | 63 |
市場の期待を裏切る結果となったことで、経済の先行きに対する不安が高まっています。
インフレ期待は急上昇、32年ぶりの高水準


消費者マインドが低下する一方で、インフレ期待は大幅に上昇しました。
1年先のインフレ期待は4.9%となり、前月の4.3%から急伸しました。
市場予想の4.3%を超える結果となりました。
また、5-10年先のインフレ期待は3.9%に上昇し、1993年以来32年ぶりの高水準となりました。
指標 | 3月速報値 | 前月 | 予想中央値 |
---|---|---|---|
1年先のインフレ期待 | 4.9% | 4.3% | 4.3% |
5-10年先のインフレ期待 | 3.9% | 3.5% | 3.4% |
長期的なインフレ懸念が強まりつつあり、消費者心理への悪影響が懸念されます。
関税政策が消費者マインドを悪化させる要因に


米国では2月のインフレが一時的に鈍化したものの、
関税の影響によるコスト増が今後のインフレを押し上げる可能性があります。
このため、家計の裁量支出が減少し、
個人消費の落ち込みにつながるリスクが高まっています。
政策の不透明感が消費者の経済見通しを悪化させる


ミシガン大学の消費者調査ディレクター、ジョアン・シュー氏は
「多くの消費者が政策や経済の不確実性の高さを懸念している」と指摘しました。
政策が頻繁に変動することで、将来の計画を立てにくくなり、消費者心理を冷やしているといいます。
共和党支持者のセンチメントは約3ポイント低下し、民主党支持者では約10%低下しました。
無党派層でも5.4ポイントの低下が見られました。
このことから、政治的立場を問わず、経済政策への不安が広がっていることがわかります。
市場への影響と今後の展望


消費者マインド指数の発表後、米国株式市場は一時的に下落したものの、その後持ち直しました。
S&P500種株価指数は一時的に上げ幅を縮小したものの、最終的には上昇を拡大しました。
一方で、ドル・円相場は一時148円90銭近辺まで下落した後、下落幅を縮める展開となりました。
指標 | 変動 |
---|---|
S&P500 | 一時下落後、上昇 |
ドル・円 | 148円90銭まで下落後、下落幅縮小 |
おわりに



今回のミシガン大学消費者マインド指数の結果は、
米国の消費者心理が急速に悪化していることを示しています。
インフレ期待が急上昇し、
関税政策の影響が消費者の不安をさらに強めています。
この状況が続けば、個人消費の落ち込みが加速し、
米国経済全体に悪影響を及ぼす可能性があります。
今後の政策動向や市場の反応に注目しながら、
経済の先行きを慎重に見極めていく必要があるでしょう。